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Trace ダンパーとは

 

Traceダンパーは、株式会社 エンドレスアドバンス ジール事業部と業務契約を締結し、ジール製品についての仕様変更及び、パーツ交換、販売に対し​、正規許可を得た商品です。



弊社では、製品精度の高いジール製品をさらに突き詰め、

ユーザー様の細やかなニーズにお応えできるように企業努力に勤めております。

製品コンセプト

 

『良質の製品だけをお客様にお届けしたい』という思いから、

一本一本手作業(加工)で計測、組み付けを行い、

最善のバランスに仕上げて納品させていただきます。

使用用途に合わせた細やかなセッティングをご堪能ください。

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現車セッティング

 

基本的にはお客様のお車をお預かりし、現車に取り付け実走し、

現車に合わせていく事を前提にしております。

遠方のお客様の場合で、お預かりできない場合は

細やかな打ち合わせ後の製作となります。

 

 

減衰力の模索

 

減衰力とは・・・辞書で調べると・・・こう在ります。

 

スプリングの動きを抑えようとするショックアブソーバーの抵抗力をいい、ショックアブソーバー内のピストン速度と、

そのときに働く抵抗力で減衰力の大きさを表す。ある物体の運動方向と反対向きに働く力を意味する。

減衰力が大きいと、ばねの働きを抑えてゴツゴツした乗り心地となる。小さいとフワフワした感じになる。

ばねの硬いスポーツカーやレーシングカーでは、ショックアブソーバーの減衰力を大きくして、

コーナリング時のロールを抑える働きをしている。

 

 

① スプリングの動きを抑えようとするショックアブソーバーの抵抗力。

 

この抵抗力はスプリングを緩衝材として使用した場合、絶えず付き纏いまた、模索するべきモノです。

スプリングを考える場合、受け止められる荷重が存在する反面、受け止めた荷重に対して反発力が発生します。

その運動行程は1サイクルでは無く、伸縮振動サイクルとして現れます。

またそのサイクルは、受動荷重や定数・繰り返し応力(スプリングのヒステリシス)、またそこから発生する伸縮長変化などで変化するモノです。

ですから、「スプリングの動き」とはあまりにも漠然とした捉え方で有り、その「抵抗力」も単一な捉え方ではなく、

複数要素(量・速度・方向)として捉える必要か有ります。

また、現在主流となるショックアブソーバーはガス噴入タイプで有るため、減衰力だけで表す事は正解とは言えず、

実際に発生するロッド反力も含む指標が必要です。

また、ロッド反力は、使用するシャフト径・シリンダー径・の比率から、ストロークによるロッド挿入体積に伴いガス室容積が変化するため、プログレッシブに変化します。これも予め使用するステージに合わせて容積率を考慮する必要が有ります。

またプログレッシブロッド反力はその減衰特性(後で説明する「減衰力レスポンス」)により使用し易い方向性に特化するため注意が必要です。

 

 

② ショックアブソーバー内のピストン速度とそのときに働く抵抗力で減衰力の大きさを表す。

 

m/secでの表記を意味する言葉ですが、速度的な指標はさておき、「減衰力の大きさ」の捉え方は大きさ」として捉える考えには疑問が有ります。「大きさ」として捉えた場合、伸縮時の抵抗値と成ります。

この場合、ある一定運動方向への一定速度に対しての抵抗値として捉える事に成ります。

しかし実際の運動を考えた場合、運動は伸縮という双方への運動と成り、その速度も方向により異なるはずです。

また、その速度、その方向で、適切な値が有ったとしても、変幻自在に変化する運動に、追従する事が不可能で有れば、

数値の大きさを求めても、意味の無いモノに成ります。

ですから、減衰力を考える場合、それを数値の大小として捉えるのでは無く、伸縮と言う双方の運動方向とその速度に対しての「追従性」と考え、必要以上の抑制力を持たせない事が得策と成ります。

 

 

③減衰力が大きいと、ばねの働きを抑えてゴツゴツした乗り心地となる。

 

「減衰力が大きいと」、と有りますがコレも一概には言えない事です。

「ゴツゴツした乗り心地」とは恐らく、マンホールの乗り越え時や、小さなギャップでの表現または連続するギャップの事だと思われます。

「ばねの働きを抑えて」とは伸び方向での抑制力を効かせ過ぎて、と解釈した場合においては、ある意味正解だと思います。

これは 連続するギャップにおいて、追従性の観点から、比較的速いスピード領域で動いた場合、

スプリングの反発力を抑え過ぎる事により発生する「無追従状態」の事を言います。

つまり追従が無くなる事により浮足となり、ギャップの頂点付近で起きる現象と成ります。

また、無追従状態(リジッド状態)は減衰力の大小とは無関係に、ロッド反力の低下においても発生します。

つまり、設定ガス圧が低すぎる場合や過渡的にプログレッシブロッド反力を抑えるための容積比率設定、

また単純にガス圧の低下によっても現れます。

また、抵抗的観点からは、縮側の比較的遅いスピード領域に抵抗が有る場合、それが縮抵抗として大きく現れるため、

ギャップ進入時に発生する場合も有ります。

これは数値の大小より、過渡的なロースピードシムの硬度や、使用するオイル粘度、またフリクションが大きく影響します。

またダレクトに、高いガス圧設定でも現れる事が有ります。

これらの事から、「ゴツゴツとした乗り心地」の理由は減衰力の大きさでは無く、

ギャップに対して、「追従性が不適切なモノ」、と成ります。

 

 

④小さいとフワフワした感じになる。

 

これもまた漠然とした捉え方です。

小さい減衰を抵抗と考える場合、そのスピードにより変化する場合と、量で変化する場合が有ります。

また摺動抵抗の大きさでも変わるため、一概には言えません。

例えば、小さな減衰をオリフィスで表現する場合と、リーク特性で表現する場合。

またロースピードシムで表現する場合・ロースピードチェックボールテンションで調整する場合・オイル粘度やプリセット(テンション)で表現する場合など様々な手法が存在します。

ですから、一概に小さい減衰はフワフワするとは言えないんです。

一般的な大きな減衰力が有るとします、それを調整オリフィスから多く逃がした場合や、シリンダーの摩耗などにより

リーク減衰が大きく成った場合、フワフワした感じに成り易い事も有ります。

ただそれも減衰力の大小ではなく、伸縮と言う双方の運動に対しての切り替わりポイント(減衰力レスポンス)

変化したためと捉えるモノです。

 

 

⑤ばねの硬いスポーツカーでは、減衰を大きくして・・・

 

ココが最大のネックポイントです。

ばね定数と減衰力を個別の物として捉えた場合、この様な表現と成りますから注意が必要です。

定数に存在する硬さには、伸縮と言う双方の働きが存在します。

その双方の働きは理論上同じ速さとして働くモノですが、実際の所はそのヒステリシスにより違いが有ります。

(コレはスプリングのヒステリシスの文面でも説明していますので参考にして下さい。)

つまり、必要とされる減衰力はその大きさとして捉えるのでは無く、スプリングのヒステリシスに見合う追従性効果と考え「減衰力レスポンス」として捉えるべきです。

つまり、硬いばねから発生する、高い反発力の無駄な所だけを抑制する働きを担わせ、

その反発力から発生する高い面圧を保持させるモノとして、使用するモノなのです。

つまり、大小では無く、その追従スピード(切り替わり速さ)に答えは有ります。

その追従スピードを求めるために、減衰力として考えた場合、「高くなる場合も有る」が、正論です。 

逆の言い方をすれば小さな減衰力で有っても硬いばねに適合する減衰力(減衰力レスポンス)は存在する事を示しています。

 

 

⑥コーナリング時のロールを抑える働きをしている

 

コレも語弊を招きます。

ロール及びピッチングを抑える働きは、基本的にスプリングやスタビライザーの仕事ですから、

それらの補助的なモノとして捉えるべきです。

確かに、対角での荷重移動を考える場合、リバウンド減衰は要素の一つには成りますが、実車に取り付けた場合、

リフトストロークにより、その効果が変化する率(リフティング効果)の方が高いため、減衰力による抑制力とは考えられません。

つまり、プリロード調整などにより、ストローク量を調整した場合、安易に変化してしまうモノで、

対角の荷重移動抑制効果としては考え難い部分です。

また、直接的なバンプ時の荷重移動に対しても、ある程度のスピードは抑制出来ますが、当然、絶対量に変わりは有りません。

またこれも対角でのストローク調整による変化率(アンチリフティング効果)の方が高いため、

バンプ減衰による抑制力とは考え難い部分と成ります。

 

 

 

これらの事から、ダンパーエンジニアとして模索すべき事は、減衰力を造るのでは無く、その使用用途に適した減衰特性を見出し、

スプリング・スタビライザー・コンプライアンス・車両剛性・タイヤ剛性・などの諸条件から発生する、サスペンションの働きを全体的な動きとして捉え、また、それらの総合的なヒステリシスを融合させるための、「メカニズムの組み合わせ」を考える事、と成ります。

つまり、減衰力数値の大小を造る事では有りません。

出来上がったモノに減衰力が付いてくるモノなんです。

コレが私の、自論です。。。。。(笑)

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